ローカルLLM実行ツール「Ollama v0.35.0」公開、意思決定モデル向け新API追加

ローカルLLM実行ツール「Ollama v0.35.0」公開、意思決定モデル向け新API追加

基本情報

項目 内容
リポジトリ ollama/ollama
版 v0.35.0
公開日 2026-09-29
ライセンス MIT
出典の種類 公開元の一次情報(公式GitHubリポジトリのリリースノートが一次情報)

情報を集めた時点で、当サイトのコードが確定させた値です。日付はJSTで表示しています。

概要

Ollama v0.35.0が公開されました。Ollamaは、DeepSeekやGemma、Qwenといった様々なオープンウェイトモデルを、ローカル環境で簡単に実行・管理するためのツールです。

今回のアップデートにおける最大の変更点は、意思決定モデル(Decision models)に対応するための新しいAPIエンドポイント /v1/systemone が追加されたことです。これにより、従来のテキスト生成とは異なり、モデルから選択肢、確率、スコアといった構造化されたデータを直接取得できるようになり、自動化されたワークフローへの組み込みが容易になります。

破壊的変更・非推奨

非推奨のパラメータに関する挙動が変更されました。

パラメータ 変更内容
typical_p リクエストに含めた場合、エラーで失敗するのではなく、警告ログが出力されるようになります

この変更は、リクエストに typical_p パラメータを使用している既存のユーザーに影響しますが、動作自体は継続可能です。将来的な削除に備え、適切なパラメータへの移行が推奨されます。

主な変更点

意思決定モデル用新API「/v1/systemone」の導入

TypeSafe社のJev APIに基づいた、新しい /v1/systemone エンドポイントが導入されました。このAPIは、テキストの生成ではなく、高速かつ型定義された「判断」を必要とするタスクに特化しています。具体的には、チケットの分類(triage)、モデルのルーティング、コンテンツのモデレーションといった用途が挙げられます。

このAPIでは、以下の3つの質問タイプをサポートしています。

  • choice: 指定された選択肢の中から一つを選び、それぞれの選択肢に対する確率を返します。
  • noul: 特定の条件が真である確率を返します。
  • score: 順序付けられた基準セットに基づいたスコアを返します。

ローカルで実行することでネットワーク遅延を回避できるため、非常に高速なレスポンスが可能です。例えば、M5 Max上で動作させた nimble 9Bモデルでは、1回の意思決定に平均91msという低レイテンシを実現しています。開発者は curl を使用した直接的なリクエストや、TypeSafeが提供する公式のPython SDKを利用して、この機能をアプリケーションに組み込むことができます。

対応モデルの拡充

意思決定に特化した新しいモデルが利用可能になりました。これらは ollama pull コマンドでダウンロードしてすぐに使用できます。

  • nimble: Bespoke Labsが開発した、9Bパラメータのオープンソース意思決定モデルです。
  • tev1: Together AIが提供する、4Bおよび0.8Bの実験的な意思決定モデルです。

ユーザー体験と安定性の向上

ユーザーの利便性とシステムの安定性を高めるための複数の修正が行われました。

まず、設定(Settings)画面の挙動が改善されました。これまではモデルの検出を待つ必要がありましたが、今後はモデルの検出を待たずに即座に設定画面を開けるようになっています。

また、macOSにおける不具合も修正されました。具体的には、アプリケーション起動時に利用可能なアップデートがあるにもかかわらず、アップデートメニューやアイコンにそれが反映されない問題が解決されています。さらに、MLXモデルのダウンロード中に処理が停止し、無期限にハングアップしてしまう問題も修正されており、Apple Silicon環境での利用がより安定しています。

対応モデル・ハードウェア

今回のリリースでは、意思決定タスクに特化した新しいモデル群がサポートされました。これらは一般的なチャットモデルとは異なり、構造化された判定を高速に行うために設計されています。現在、以下のモデルがOllamaを通じて利用可能です。

  • nimble: Bespoke Labsが開発した9Bパラメータのオープンソース意思決定モデルです。13の公開データセットを用いた3,880件の判定テストにおいて、高い精度が確認されています。
  • tev1: Together AIによる4Bパラメータの実験的な意思決定モデルです。
  • tev1:0.8b: Together AIによる0.8Bパラメータのさらに軽量な実験的モデルです。

ハードウェア面では、特にApple Siliconへの最適化が進んでいます。MacBook Pro M5 Maxを使用したベンチマークでは、nimble 9Bモデルにおいて平均91msという極めて低いレイテンシでの意思決定が可能であることが報告されています。これは、リアルタイム性が求められるゲーム内での判断や、大量のコンテンツモデレーションを即座に処理するのに十分な速度です。

また、現在は標準的なリソースを使用していますが、今後のアップデートではMLX(Appleの機械学習フレームワーク)を活用したApple Silicon向けのさらなるパフォーマンス向上が予定されています。これにより、Mac環境での推論速度がさらに改善される見込みです。

アップデート方法

まず、Ollama本体を最新バージョン(v0.35.0以上)に更新してください。その後、ターミナルで以下のコマンドを実行して、新しい意思決定モデルをダウンロードします。

ollama pull nimble

今回の新機能である /v1/systemone エンドポイントをPython環境から利用する場合は、TypeSafeの公式SDKをインストールして利用することが推奨されています。以下のコマンドで導入が可能です。

# uvを使用する場合
uv add typesafe-sdk

# pipを使用する場合
pip install typesafe-sdk

SDKを利用してローカルのOllamaに接続するには、以下の環境変数を設定します。

export TYPESAFE_BASE_URL=http://localhost:11434
export TYPESAFE_API_KEY=ollama
export TYPESAFE_DEFAULT_MODEL=nimble

Pythonコードから呼び出す際の基本的な実装例は以下の通りです。この例では、チケットの内容に基づいて担当チームの判定、返金要求の有無、緊急度のスコア化を一度のリクエストで行っています。

from typesafe_sdk import Choice, Noul, Score, TypeSafeClient

ticket = "I was charged twice. Please refund the extra payment."
questions = {
    "team": Choice(
        instructions="Which team should handle this ticket?",
        criteria={
            "billing": "Payments and refunds",
            "technical": "Bugs and integrations",
            "other": "None of the above",
        },
    ),
    "refund": Noul(
        instructions="Does the customer explicitly ask for a refund?",
    ),
    "urgency": Score(
        instructions="How urgent is this ticket?",
        criteria=["Routine", "Soon", "Urgent"],
    ),
}

with TypeSafeClient(timeout=120) as client:
    result = client.system_one(
        state={"ticket": ticket},
        questions=questions,
    )
    print(result.choices["team"].choice) # billing
    print(result.nouls["refund"].noul)   # 0.997
    print(result.scores["urgency"].score) # 0.815

前回の記事からの更新履歴

当サイトがGitHubのリリース一覧から機械的にまとめた、この版と前回取り上げた版の間に出た版です(単独記事にはしていません)。 全ての版はエンジン別ページにあります。

版 公開日 リリースノート
v0.34.4 2026-09-23 GitHub
v0.34.3 2026-09-19 GitHub
v0.34.2 2026-09-16 GitHub
v0.34.1 2026-09-15 GitHub
v0.34.0 2026-09-06 GitHub

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出典

更新履歴

  • 2026-09-30: 材料を集め直して本文を書き直しました。