テンソルライブラリ「ggml v0.23.0」公開:スパースアテンションと非同期RPCに対応

2026年10月28日

ggml v0.23.0リリース:スパースアテンションと非同期RPCに対応

基本情報

項目 内容
リポジトリ ggml-org/ggml
版 v0.23.0
公開日 2026-09-04
ライセンス MIT
出典の種類 公開元の一次情報(ggml公式GitHubリポジトリが一次情報)

情報を集めた時点で、当サイトのコードが確定させた値です。日付はJSTで表示しています。

概要

機械学習用のテンソルライブラリである ggml の最新バージョン v0.23.0 がリリースされました。

本リリースでは、スパースアテンション(Sparse Attention)や非同期実行、およびメモリ割り当ての依存関係追跡のための新しいオペレータとバックエンド・スケジューリング API が導入されています。特に、RPC(Remote Procedure Call)スタックの拡張や、CPU、GPU、各種アクセラレータにおける広範なパフォーマンス改善と正確性の向上が含まれており、分散推論や高度なモデルアーキテクチャを利用する技術者にとって重要なアップデートとなっています。

破壊的変更・非推奨

RPCプロトコルの仕様が変更されました。

項目 旧バージョン 新バージョン
RPC Protocol (以前のバージョン) 6.0.0

この変更は、RPCスタックを利用して分散環境での推論を行っているユーザーに影響します。

主な変更点

スパースアテンションと新オペレータの追加

スパースな K/V マスクを扱うための ggml_flash_attn_ext_set_n_kv_max() や、ggml_swiglu_clamp() などの新しいオペレータが追加されました。これにより、スパースアテンションを利用する新しいモデルアーキテクチャへの対応が強化されています。スパースアテンションを使用するモデルを動かしているユーザーは、これらの新しい機能の恩恵を受けることができます。

RPCスタックの機能拡張と高速化

RPC プロトコルが強化され、イベントおよび非同期バックエンド API が実装されました。また、Apple RDMA トランスポートが追加され、リモートバッファのシリアライズを回避する仕組みが導入されています。これにより、ネットワークを介した分散推論の効率が向上します。分散推論環境を構築しているユーザーに影響があります。

GPUバックエンド(CUDA / ROCm / Metal)の最適化

GPUを利用するユーザー向けに、大幅な最適化が行われました。 CUDA / ROCm では、スパース Flash Attention (FA) や、XOR-swizzled FA K/V smem、さらには拡張された MoE (Mixture of Experts) フュージョンが追加されました。また、マルチGPU環境において、スプリットごとに並列ストリームを利用できるようになり、並列性能が向上しています。 Metal では、スパース FA や radix top-k に加え、Mamba-2 の prefill 最適化のための chunked SSD MMA が追加されました。また、Metal 4.0 のテンソル API サポートも含まれており、最新の Apple GPU 環境を利用しているユーザーに影響します。

Vulkan およびその他のアクセラレータへの対応

Vulkan バックエンドでは、Deepseek V4 のオペレーションに対応するための Lightning Indexer サポートや、cross-entropy loss が追加されました。 OpenVINO では、OpenVINO 自体のアップデート(2026.3.1)に加え、whisper.cpp のサポートや NPU 上での Qwen3.5 対応が行われています。 Hexagon では、マルチNPUデバイスのサポートと、完全に非同期なバックエンドが実装されました。

CPU および WebGPU の改善

CPU では、AVX2 を使用した大規模バッチ時における IQ モデルのプロンプト処理速度が向上しています。 WebGPU では、テンソル取得時にオフセットが 4 の倍数でない場合に発生していたクラッシュが修正されました。

対応モデル・ハードウェア

本リリースでは、以下のハードウェアおよびモデルアーキテクチャへの対応・最適化が行われています。

GPU / アクセラレータ
– CUDA / ROCm: スパース Flash Attention (FA) や拡張された MoE フュージョンに対応。また、RDNA3 アーキテクチャ向けの MMQ 設定のチューニングが行われました。
– Metal: Apple GPU における fa-vec のチューニングが M1, M2, M3, M4 シリーズ(Pro/Max/Ultra を含む)および A18 Pro に適用されました。また、Metal 4.0 のテンソル API サポートも追加されています。
– Vulkan: Deepseek V4 のオペレーションに対応するための Lightning Indexer サポートが追加されました。
– OpenVINO: NPU 上での Qwen3.5 対応が行われています。
– Hexagon: マルチNPUデバイス(IQ9, IQ10)のサポートが追加されました。

モデルアーキテクチャ / 量子化
– スパースアテンションを利用するモデル(ggml_flash_attn_ext_set_n_kv_max() による K/V マスク対応)や、Mamba-2 の prefill 最適化(chunked SSD MMA)への対応が含まれます。
– CPU において、AVX2 を用いた大規模バッチ時の IQ モデルのプロンプト処理が高速化されています。

アップデート方法

ソースからビルドする場合は、以下の手順に従ってください。

git clone https://github.com/ggml-org/ggml
cd ggml

mkdir build && cd build
cmake..
cmake --build. --config Release -j 8

前回の記事からの更新履歴

当サイトがGitHubのリリース一覧から機械的にまとめた、この版と前回取り上げた版の間に出た版です(単独記事にはしていません)。 全ての版はエンジン別ページにあります。

版 公開日 リリースノート
v0.22.0 2026-08-25 GitHub
v0.21.0 2026-08-21 GitHub
v0.20.2 2026-08-18 GitHub
v0.20.1 2026-08-17 GitHub
v0.20.0 2026-08-15 GitHub
v0.19.0 2026-08-07 GitHub
v0.18.1 2026-08-04 GitHub
v0.18.0 2026-07-30 GitHub
v0.17.0 2026-07-17 GitHub
v0.16.0 2026-07-10 GitHub
v0.15.3 2026-06-26 GitHub
v0.15.2 2026-06-19 GitHub
v0.15.1 2026-06-12 GitHub
v0.15.0 2026-06-12 GitHub
v0.14.0 2026-06-08 GitHub
v0.13.1 2026-05-29 GitHub
v0.12.1 2026-05-26 GitHub
v0.13.0 2026-05-26 GitHub
v0.12.0 2026-05-16 GitHub
v0.11.1 2026-05-11 GitHub
v0.11.0 2026-05-05 GitHub
v0.10.2 2026-05-02 GitHub
v0.10.1 2026-04-30 GitHub
v0.10.0 2026-04-21 GitHub
v0.9.11 2026-04-02 GitHub
v0.9.10 2026-04-02 GitHub
v0.9.9 2026-03-31 GitHub
v0.9.8 2026-03-17 GitHub
v0.9.7 2026-02-16 GitHub
v0.9.6 2026-02-07 GitHub
v0.9.5 2026-01-01 GitHub
v0.9.4 2025-09-30 GitHub
v0.9.3 2025-09-25 GitHub
v0.9.1 2025-09-20 GitHub

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出典

更新履歴

  • 2026-09-19: 下書きに戻していた記事を、材料を集め直して書き直し、公開に戻しました。